出水のツル
鹿児島県北西部、出水市の広大な干拓地には、毎年10月頃から翌年3月頃にかけて、シベリアや 中国東北部から数万kmの旅をしてきたツルが越冬のために飛来します。その数は毎年1万羽を 超え、世界最大級のツル越冬地として国の特別天然記念物にも指定されています。中でも ナベヅルについては、世界の生息数の実に9割前後がこの出水平野に集中するといわれており、 一つの地域にこれほど個体数が偏っている渡り鳥は、世界的に見ても極めて珍しい例です。
早朝、出水市のツル観察センター周辺では、数千羽のツルが一斉に飛び立つ光景を見ることが でき、大手旅行ガイドでも紹介される人気スポットですが、「世界のナベヅルの9割」という その集中度の異常さまで踏み込んで語られることは、あまり多くありません。
玄人の食文化・その1
練乳をたっぷりかけたかき氷に、フルーツや小豆をトッピングした鹿児島名物「しろくま」は、 戦後まもない鹿児島市内の甘味店で生まれたとされ、その愛らしい見た目(トッピングの 配置が白熊の顔に見える)から全国的な知名度を獲得しました。今では全国のコンビニでも 商品化されるほどのポピュラーなデザートですが、その発祥が鹿児島にあることは、 案外知られていません。
玄人の食文化・その2
鹿児島は火山灰に覆われたシラス台地が広がり、稲作にはあまり向かない土地でした。その 代わりに江戸時代、痩せた土地でもよく育つサツマイモの栽培が広まり、これを原料とする 焼酎、いわゆる芋焼酎の文化が独自に発展しました。日本酒文化圏である本州の多くの地域とは 対照的に、鹿児島では「一杯」といえば芋焼酎を指すのが当たり前という土地柄です。
黒毛和牛や黒豚といった鹿児島の畜産物も、この火山灰土壌と、稲作に代わって発展した 畑作・畜産の組み合わせの延長線上にあります。特に鹿児島黒牛は、全国でも有数の飼育頭数を 誇るブランド牛として知られています。桜島の大根やみかんと同じく、鹿児島の食文化の 多くは、火山灰の土地との折り合いのつけ方から生まれてきたといえるでしょう。
おわりに
桜島の噴煙から、鬼界カルデラという地球規模の災厄、天孫降臨の神話、離島に残る仮面の 来訪神、そして芋焼酎という食文化まで。鹿児島という土地は、「南国の楽園」という イメージだけでは到底語り尽くせない、自然の桁外れさと、そこに根を張った物語の厚みを 持っています。このサイトで紹介した部屋の中から、次に鹿児島を訪れる際のヒントを 見つけていただければ幸いです。
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出水に舞い降りるナベヅルと、鹿児島名物のしろくま。